「応援したい会社」プロジェクト

社会に必要とされる「応援したい会社」と「働くことで成長したい若者」をつなぐ。

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「応援したい会社」訪問記Vol.4 【 株式会社ソニックガーデン 】 ~一括納品方式から脱却したソフトウェア開発の超新星~

ソニックガーデンさん探訪


日本のシリコンバレーと呼ばれ、大規模な再開発が始まった東京・渋谷にあるソニックガーデン社に、CEOの倉貫義人さんとCOOの藤原士朗さんを訪ねました。訪問は2回目という余裕の同行者(與良)についていったら好事魔多しで大通りを大きく勘違い、またまた余裕時間がゼロ以下になってしまいました。

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ハードをゴールにしない。一括納品方式から脱却したソフトウェア開発の超新星

会社の年齢は1歳ちょっと。
2009年に社内ベンチャーとして創業し、昨年、MBOによってオーナーカンパニーになりました。
2011年といえば、スマホがパソコンの出荷台数を上回り、クラウドが社会基盤としていよいよ本格利用の時代に入った情報インフラの転換点の年。この環境をフルに活用して、所有するシステムからサービスとして利用するシステムへ、「脱一括納品」のパートナーシップ型ビジネスを軌道に乗せたソニックガーデン社は、まさにクラウド時代の申し子と言えます。

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今日、企業のビジネス環境は激しく揺れ動いていて、固定的な計画達成型の仕事では変化する現実に対応できなくなっています。企業がITを使って「やれること」「やりたいこと」も刻々と変化しているとしたら、その“動いている状況”と一緒に生成していくソフトウェア開発と価値の提供ができないか。そこで倉貫さんが思いついたのが、ソフトウェア開発をサービスで受託する〈ソフトウェアパートナーシップモデル〉。メーカーから「サービス業」へ、ビジネスモデルの転換です。
それを可能にしたのは、インフラとしてのクラウドの進展と、倉貫さんが模索していたアジャイル開発のスタイル、そしてプログラマのナレッジワーカー化でした。


業界の「おかしい…」を超えるために独立

大規模なシステム開発プロジェクトを手がけるSIer(システムインテグレータ)の会社でエンジニアをしていたCEO倉貫義人さんが仲間と一緒に社内SNS「SKIP」をつくったのは2005年のこと。社員に喜んで使ってもらえるシステムに育った手ごたえから、これをビジネスにしたいと考えたのが独立のきっかけです。といっても、パッケージにして売り出そう、という理由からではありません。いくら人手と時間をかけて頑張っても成果の出にくい既存のソフトウェア開発の仕事を、もっと自分にとってもお客様にとっても生きるもの、価値のあるものにしたいと思ったからです。

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外からIT業界を見ている人間にとって、システム開発やソフトウェア開発ほどわかりにくいものはないでしょう。人手でやるよりもはるかに効率の上がること、人手ではやれないことを助けてくれる高額な道具を買おうというのに、実際のところ「何にお金を払うのか」がよくわかりません。企業ユーザー側では「IT投資は費用対効果が見えにくい」、受託側では「開発プロジェクトが予定したように進まず、手離れが悪くて利益が出にくい」という声をよく耳にします。両者不満足のケースが思いのほか多いのです。

「所有価値」を提供するメーカーではなく、「利用価値」を提供するサービス業へ
「ビルのような構造物なら設計図をかためて模型もできるけど、ソフトウェアには正解がないんです。いつまでに・こういう工程で・これだけリソースをかけてやれば必ずいいものができる、とは言えない。Face bookだって最初から要件定義してできたわけじゃありませんよね。使いながらどんどん使えるものになってきた。でも、これまでのソフトウェアは、完成品をプロジェクトでつくって一括納品していくら、というメーカーとしてのモノの売り方だったんです」と、倉貫さんは言います。

もともと一括納品をめざすプロジェクト型の開発プロセスは、顧客がそれを買い取る「所有」が前提です。それに対して、ベータ版でリリースし現場で動かしながらつくり込んでいくオープンな開発プロセスのパートナーシップモデルは、必要に応じて価値を受け取る「利用」が前提。
月々定額制の長期契約をするサービス型のビジネスにすることで、つねにお客様とやりとりしながら進めていくアジャイルな開発プロセスが可能になり、営業の定義やお金のもらい方、利益構造、そしてプログラマの役割までもが変わりました。

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庭師が庭づくりを引き受けるように、「顧問プログラマ」がソフトの成長の面倒をみる

「ソニックガーデン」の社名は、素早くプログラミングする技術と、時間・手間・愛情をかけて植物を育てるようにソフトウェアを育てていく環境を意味しています。

パートナーシップモデルでは、顧客との間でソフト開発から運用までのサービス契約をし、担当する「顧問プログラマ」が一緒に相談しながら、ソフトウェアの生きるシステムを育てていきます。そのサポートには、業務のなかに溶け込んだソフトウェアが仕事のルールや習慣を変えることが含まれているのも特徴です。

一過性のプロジェクトの“一部分”を手がけるのではなく、顧客との長期的な信頼関係をベースに、ソフトウェアの設計から運用までをトータルに手がけてマネジメントしていく役割、包括的なITに関する相談役というのは、倉貫さんの思い描く理想のプログラマ像でした。

「本来、プログラマの仕事というのは創造的なもの。その会社のこと、事業や業務のこと、ビジョン、戦略、風土などを知ってプログラムをつくっていくプロセスは学習そのものなんです」
品質のいいものをつくるにはそれなりの時間がかかる、気持ちのゆとりも必要。業界では当たり前になっている、納期と戦いながら体力勝負でプロジェクトの数をこなすことだけを求める余裕のない仕事では、プログラマが潰れてしまうと倉貫さんは感じていました。

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「プログラマが部品のように使われているのは許せないですね。ナレッジワーカーとして胸を張って人に誇れる職種にしたいし、一生の仕事にできるようにしてあげたい」
プログラマの社会的地位の向上はソニックガーデンさんのビジョンでもあり、プログラマの定義を変えるこのビジネスを通じて、常識に縛られた業界慣行を変えたいという強い思いがあります。

■会社のミッション

IT投資に対するソフトウェアの価値観を最大化すること
習慣を変えるソフトウェアをつくること

■私たちのビジョン

顧客企業の真のパートナーとして価値を提供し続ける
プログラマを一生の仕事にする、高みを目指し続ける
いつまでも、いつからでも夢に挑戦できる会社にする


工程別の分業仕事ではなく、経営マインドをもって全体を動かす仕事

ソニックガーデン社のビジネスを支える「顧問プログラマ」は、ソフトウェアの知識や技術、実務能力さえあればできるというものではありません。何よりも、お客様に信頼され関係をつくることができるパーソナリティを第一条件として、相手の立場に立って話を聞き、説明ができるコミュニケーションの姿勢、自分で考えて状況をマネジメントしていく自律性などが求められます。

それが会社の存立条件にもなるため、採用には半年ぐらいかけて人を見ていくといいます。
「小さな会社で社員を採るというのは、結婚を決めるようなもの。一緒に同じバスに乗って定年まで働こうという相手を探すわけだから、お互いをよく知るための期間をしっかり設けるのは当たり前」というスタンスです。晴れて会社に迎えたら、「ナレッジワーカーは勤怠管理のできないクリエイティブな仕事だから、マネジメントしないほうが生産性は高いと思っています。もちろん、個々がセルフマネジメントできることが前提になりますが」

会社だのみではいられない厳しさは、一人ひとりにも覚悟を迫ります。1年前に独立するときは、さすがに揺れ動いたという創業メンバーの藤原さんがこう語ります。
「突如、MBOするぞと言われたときには、えっ!?と思いましたけど、いろんなリスクがあるなかで、逆に大企業にいることのリスクを感じたんですね。自分の人生の舵は自分で切らないと怖いなと。大きな組織では分業した仕事の効率を上げていくだけ。全体の流れが見えないなかで分担した仕事をしている。そういう手ごたえのない仕事に自分の人生を預けているほうが怖いな、と思ったんです。それなら自分で決めて、後悔しないほうがいい」

受注から代金回収までを一手に引き受けるプログラマ。「全体を見ながら仕事をすることで、一つひとつの工程、その仕事の意味や価値も変わる。そういう仕事のほうが自分で考えて深めていける」と、藤原さんは顧問プログラマというビジネスモデルに手ごたえを感じています。

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「信頼する」ハートを大きくして、ハードはミニマムにするという経営の選択

みんながやりがいを感じるビジネスモデルと、それを実現する経営。
自身の組織経験から管理の弊害を痛感してきた倉貫さんと藤原さんは、「社員をマネジメントせずにクオリティが担保できて、顧客に信頼してもらえるような会社にするにはどうすればいいだろうか」と真剣に話し合ったといいます。二人のたどりついた答えは

「マネジメントの代わりに信頼すること」

そのためには会社を大きくしない。顔ぶれが見渡せて空気の変化も体感できる規模を保つ、「信頼できる大きさを維持しておくことが解決策」という結論に至りました。
オーナー会社にしたことの意味もそこにあります。上場はしない、急成長もさせない。
むずかしいし勇気のいることだけど、事業と同じように、会社もまたハードに縛られないハートフルなソフトウェアでありたい。企業成長がそのまま規模の拡大を意味した時代の経営とはまったく価値観の異なる“ミニマム経営”、これがソニックガーデンスタイルの新しい経営です。


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オーナーシェフを育ててのれん分けし、ソニックガーデンモデルを増やしていく


これからの日本は、効率よくモノをつくってたくさん売るという20世紀型の製造業モデルではもう生き残っていけない。だから、①人や社会の抱えるむずかしい問題を解決する ②ゼロから1を生み出す、ナレッジ主体のビジネスが大事だと倉貫さんは考えています。
「エンジニアの思いと技術を社会や日本の課題と組み合わせて、今までにない新しいものを生み出していく」、そんな構想のうえに広がるマーケットはブルーオーシャンだと言います。
計画ありきでやれない、手間ひまがかかる、実践のなかで育つナレッジワーカーは促成栽培できない。つまり高コスト体質ではやれない。従来の大企業にはとても手の出せないモデルなのです。

「でも…お客様が増えたらどうするんですか?」自身も学生起業家である同行した中田さんが鋭い質問を投げかけました。これは2期目を迎えるソニックガーデン社の次なるチャレンジ課題でもあるそうです。

「ナレッジワーカーは量産できないから、ちょうど職人の徒弟制度みたいな感じで育てていくイメージを持っています。レストランのオーナーシェフっていますよね。そういうシェフのもとで働く人が一人前になったら、店を持って独立していく。その人がまた次の人を育てていく。そうやって、のれん分けをして自分たちを増やしていくイメージです」
小さな会社が成長のジレンマをどうやって超えていくのか。ビジネスも組織も新しい試みだらけのソニックガーデンさんの目の中には、ヒエラルキーなきパートナーのネットワークが広がっていく明日の姿が浮かんでいます。

(谷田)
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テーマ:企業経営 - ジャンル:ビジネス

  1. 2012/10/23(火) 07:10:47|
  2. 「応援したい会社」訪問記
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